11月は山口・毛利博物館で「国宝展」 ~雪舟の最高傑作をぜひ

山口・防府の毛利博物館で、毎年秋恒例の国宝展の季節がやってきました。16mもある雪舟の「四季山水図」を筆頭に、毛利家が所蔵する国宝4件と多くの重要文化財が公開されます。

同じ敷地にある重要文化財の毛利邸は、長州藩の殿様のお屋敷として気品あふれる趣に満ちています。名勝の庭園も紅葉を始め、お屋敷とも抜群に調和した美しい空間を楽しむことができます。わざわざ出かける価値があります。


表門から玄関へ至る道には御所のような趣が

毛利博物館は1967(昭和42)年、所蔵文化財・毛利邸・庭園をあわせて毛利家が財団法人化した際に開館しました。毛利邸と庭園は明治になってから国許の本邸として建設が始まり、1916(大正5)年に完成したものです。

毛利邸と呼ばれる施設は下関市長府にもありますが、こちらは長州藩の支藩の長府藩の殿様が明治になってから建てたものです。ちなみに六本木ヒルズの毛利庭園は、支藩の長府藩の屋敷の跡地に新たに造成されたものです。江戸時代の屋敷の庭園ではありません。

毛利家は公称36万石ですが、実際は雄にその倍以上あったといわれる大藩の殿様です。藩は明治維新の立役者ともなり多くの元勲も輩出しています。毛利邸は幾度も天皇の宿泊所となっているように、大大名としての品格が見事に備わっています。


毛利邸・博物館・庭園の入口

博物館は毛利邸の奥にあり、毛利邸を見てから博物館に進むのが一般的なコースです。その後、庭園に進みます。

毛利邸は部屋が60もある巨大なお屋敷です。正面玄関の車寄せは唐破風の軒がとても重厚で、特別な空間の玄関にふさわしいデザインです。書院造ですが、明治の数寄屋風の趣も随所で見られます。和室でも天井にシャンデリアが付けられていますが、部屋の趣と調和するようしっかりとデザインされています。


とても上質な書院の空間

2Fからは庭園の眺望が見事です。庭園に入れないチケットもありますが、この眺望を見れば庭園に入らない人はいないでしょう。明治・大正の和風のお屋敷は数多く現存しますが、ここはやはり品格が違います。毛利邸に隣接してミュージアムショップと喫茶室が設けられていますが、毛利邸の中でぜひお茶をいただきたいものだと感じました。実現すればとても素晴らしい空間になること間違いなしです。

【公式サイトの画像】 毛利元就像

博物館は常設展の第1展示室と、特別展会場の第2展示室に分かれています。常設展は随時展示品が入れ替えされますが、毛利元就以来の伝来品が数多くありますので必見です。

公式サイト上で国宝以外の展示作品情報が公開されていないので鑑賞できるかどうかわかりませんが、重文・毛利元就像は教科書でもよく見る著名な肖像画です。同じく重文の「幕府追討密勅」は幕末に朝廷から長州藩に出された内々の文書です。徳川慶喜が大政奉還してしまったために追討は実際には行われませんでしたが、戊辰戦争時の錦の御旗につながる歴史の生き証人と言えます。

【公式サイトの画像】 雪舟「四季山水図」

国宝「四季山水図」は「山水長巻」とも呼ばれる雪舟の最高傑作の一つです。中国の風景を四季の移ろいに合わせて描いたもので、建物・人物・岩肌・木々・空気の流れ、どれをとっても雪舟らしい緻密かつ奥行きのある表現が秀逸です。ダイナミックながらも雄大さも兼ね備えています。第2展示室はとても細長い部屋です。おそらく「山水長巻」を展示するためでしょう。

雪舟を支援した大内氏が所有していましたが、大内氏滅亡の混乱を生き残り、毛利氏が所蔵するようになったものです。毛利家にとってはまさに家宝と言える作品でしょう。

【公式サイトの画像】 「古今和歌集 巻第八」

国宝「古今和歌集 巻第八」は、高野切(こうやぎれ)と呼ばれる古今集の現存最古の写本の一つで、三巻しか残っていない完存巻の一つです。11c半ばに写されたもので、細く流麗な平安時代を感じさせる仮名文字が流れるように書かれています。国宝にふさわしい風格があります。


庭園から見た毛利邸

やや標高が下がる池の周囲に造られています。庭園からは毛利邸の建物が借景としてとても幽玄に見えます。建物の気品とも実に調和しており、素晴らしい空間になっています。四季の植物も楽しめます。庭園付きのチケットをぜひご購入ください。

【公式サイト】 庭園の地図

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。


国宝の教科書。

毛利博物館/国指定名勝 毛利氏庭園
特別展「国宝」展
【公式サイト】http://www.c-able.ne.jp/~mouri-m/

会期:2018年10月27日(土)~12月2日(日)
会期中原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~16:30

※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

◆おすすめ交通機関◆

JR山陽線「防府」駅下車、天神口(北口)2番のりばから防長バス・阿弥陀寺行き「毛利本邸入口」バス停下車、徒歩6分
JR防府駅から車で8分、山陽道「防府西」IC「防府東」ICから車で各15分
JR新山口駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:40分
新山口駅→JR山陽線→防府駅→防長バス→毛利本邸入口
新山口駅まで 新幹線で 東京から4時間30分、新大阪から2時間、博多から35分

【公式サイト】 アクセス案内

※鉄道やバスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。

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