名古屋・徳川美術館で2年ぶりの源氏物語絵巻 ~本物の王朝美を12/16まで

日本で最も有名な絵巻物である国宝「源氏物語絵巻」が、名古屋の徳川美術館と東京の五島美術館に所蔵されていることはよく知られています。超貴重品なのでめったに公開されないと思われがちですが、実は両館ともほぼ定期的に公開されています。徳川美術館は1~2年おきに秋に、五島美術館は毎年春に、それぞれ所蔵品の一部を1~2週間の短期間だけ公開しています。

徳川美術館では、おそらく修理の都合で昨年の公開が見送られたこともあり、今年2018年秋は2年ぶりの公開となります。展示替えはありますが1か月半ほどと会期が長く、鑑賞チャンスがとても大きくなっています。

歴史と美しさ、品格を兼ね備えた日本美術の最高傑作の一つであることに誰も異論はないでしょう。ぜひ徳川美術館へお出かけください。


美術館へ向かう黒門

源氏物語を描いた絵巻はいつの時代も制作されており、数多く存在します。徳川&五島美術館の所蔵品は現存最古のものであり、欠損の大きい断簡(だんかん)ではなく、絵が完全にのこされています。また平安時代に製作された絵巻物としても最古であり、こうした状況から国宝に指定されています。

本来は源氏物語の全54帖すべてから1~3場面を選んで制作されたと考えられています。現存は徳川美術館の10帖、五島美術館の3帖だけになっています。製作は源氏物語が西暦1000年頃に世に出てから、150年ほど後の平安時代末期です。藤原隆能(ふじわらのたかよし)が作者という説はありますが、定かではありません。

徳川美術館の所蔵品は尾張徳川家に伝来したもので、明治以降も所有者は事実上変わっていません。五島美術館の所蔵品は阿波蜂須賀家の伝来品です。明治になって益田孝が入手したものを、戦後になって東京コカ・コーラボトリングの創業者・高梨仁三郎を経て五島慶太が入手、現在に至ります。

高梨はキッコーマンの創業家の一つの出身で、五島に売却していなければコカ・コーラ美術館もしくはキッコーマン美術館ができて目玉作品となっていたかもしれません。

【公式サイトの画像】 国宝・源氏物語絵巻「東屋(一)」 ※12/4~16展示

国宝・源氏物語絵巻はその名の通り巻物ですが、1932(昭和7)年に保存のため、巻物からはがして平面に保管する額面に改装されました。しかし常時空気にさらされ、台紙の反りで負担がかかっていたため、長期保存を鑑みて2012年から本来の巻物に戻す修理が行われています。

今回の展覧会では修理前の額装のものと、修理が終わった巻物のものが並行して展示されます。修理前の額装で鑑賞できるのは最後の機会になります。

引目鉤鼻(ひきめかぎばな)で描かれた人物の表情、建物の屋根・天井を描かずに室内の様子を表現する吹抜屋台(ふきぬきやたい)と呼ばれる構図などにまず目を引かれます。平安時代の王朝文化を代表するこれら絵画表現のイメージは、まさに源氏物語絵巻のイメージそのものであることがわかります。

なお第5展示室では、常設で複製品が公開されています。例えば公式サイトで公開されている「東屋(一)」を見比べてください。

【公式サイトの画像】 国宝・源氏物語絵巻「東屋(一)」復元模写


徳川園

特別展期間中は名品コレクション展示室で、国宝の嫁入り道具・初音調度や国宝の太刀・正恒と光忠が、展示替えがありますが鑑賞できます。徳川美術館は明治以降も収集を続けており、大名家系の美術館としては日本トップクラスの質と量を誇ります。名品コレクション展示室だけでも充分に目を肥やすことができます。

美術館の敷地は、元は尾張徳川家の別邸だったところです。同じ敷地にある日本庭園の徳川園は、第二次大戦の空襲で破壊された別邸の庭園を2004年に再整備したものです。11月の日本庭園はやはり紅葉が楽しみです。芸術の秋とあわせてお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。


別冊太陽が届ける「やまと絵」のバイブル

徳川美術館
特別展 源氏物語の世界 ―王朝の恋物語―
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:徳川美術館、名古屋市蓬左文庫、中日新聞社
会期:2018年11月3日(土)~12月16日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30

※11/18まで、12/2まで、12/6以降の3通りで一部展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

◆おすすめ交通機関◆

名古屋駅バスターミナル10番のりばから、市営バス基幹2系統「猪高車庫」方面行「徳川園新出来」停留所下車、徒歩3分
JR中央線。地下鉄名城線、名鉄瀬戸線「大曾根」駅下車、徒歩15分

名古屋駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
名古屋駅桜通口→名古屋駅バスターミナル→市営バス→徳川園新出来

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料・有料の駐車場があります。

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