奈良公園に隣接した庭園・依水園の中に寧楽(ねいらく)美術館があります。東アジアの陶磁器や中国の青銅器、日本の茶道具の蒐集では定評があり、自慢の高麗青磁を披露する展覧会が行われています。
こじんまりした美術館ですが、高麗青磁のコレクションはとても見応えがあります。どこまでも人を惹きつけるヒスイ色の魅力を、東大寺大仏殿と若草山を借景にした奈良で一番の庭園と共に楽しむことができます。
今年2018年秋の関西は「高麗」ずくしです。大阪の東洋陶磁美術館、奈良・学園前の大和文華館で行われている「高麗」展との入館料の相互割引も行われています。高麗美術の魅力をたっぷり体験してみてください。

美術館の建物
寧楽美術館は通年で公開されており、大半の期間で年2回の企画展が行われており、常設展示も並行して行われています。また依水園(いすいえん)と一体運営されており、奈良で一番の庭園と美術鑑賞を一緒に楽しむことができるのも大きな魅力です。
美術館の建物は少し膨らんだ起り(むくり)屋根が特徴で、数寄屋風の洒脱なセンスを感じさせます。奈良に多い東大寺大仏殿など仏教寺院建築は、一般的な少しへこんだ反り(そり)屋根で、荘厳に見えます。奈良では珍しい寧楽美術館の起り屋根も、奈良の大きく青い空にとても調和しています。

近鉄奈良駅から美術館入口に向かうと大仏殿の屋根が見える
高麗青磁は日本の平安~室町時代に朝鮮半島を治めた高麗王朝で造られた磁器です。何といっても、ヒスイ色の肌のきらめきと、見えそうで見えない文様が魅力です。今回の展覧会では、鉢・椀・瓶・盃・壺と多様な形状の器が展示されており、器の形によっても見え方が様々に変化する高麗青磁の魅力を俯瞰することができます。
青磁象嵌双魚文平鉢(せいじぞうがんそうぎょもんひらはち)は、器の内部にツインになった魚が四隅と中心の5か所、それぞれ円形にデザインされて描かれています。黒色に発色する土を埋め込んで描く象嵌という技法です。とても繊細な表現は、真上から見ても斜めから見てもとてもかっこよく見えます。高麗青磁ではあまり見ない意匠であることも魅力的です。
高麗青磁にとって代わって初期李氏朝鮮王朝で造られた粉青沙器(ふんせいさき)のコレクションも展示されています。粉青沙器は白っぽい色で土の感触をのこした肌に、どちらかといえば目立つよう文様が施されているのが特徴です。静的な高麗青磁にはない、動的な美しさが魅力です。

依水園は欧米人観光客が目立つ
大阪・中之島の東洋陶磁美術館の「高麗青磁」展は11月25日(日)まで、奈良・学園前の大和文華館の「高麗」展は11月11日(日)までの開催です。
【展覧会公式サイト】 大阪市立東洋陶磁美術館 特別展「高麗青磁-ヒスイのきらめき」
【展覧会公式サイト】 大和文華館 特別展 建国1100年「高麗―金属工芸の輝きと信仰―」
展覧会期間中の11/1~14限定で寧楽美術館が所蔵する文人画の巨匠・田能村竹田による重要文化財「亦復一楽帖」も公開されます。興福寺、正倉院展とあわせて、奈良と大阪の秋をぜひどうぞ。
こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。
寧楽美術館
企画展「翡色と象嵌の高麗青磁・型押しの李朝粉青沙器」
【美術館による展覧会公式サイト】
主催:依水園・寧楽美術館
会期:2018年10月1日(月)~2019年2月24日(日)
原則休館日:火曜日、12/25-1/5
入館(拝観)受付時間:9:30~16:00
※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※寧楽美術館は庭園・依水園と一体となって運営されています。展覧会のみのチケットはありません。
◆おすすめ交通機関◆
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩15分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安: 1時間15分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
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