大阪・中之島の東洋陶磁美術館で不思議なモダンアートの展覧会「オブジェクト・ポートレイト」が始まりました。
- 東洋陶磁美術館所蔵の陶磁器を撮影し、輪郭や文様などその作品の特徴を表す部分だけをモノクロに浮かび上がらせて表現
- 作者のエリック・ゼッタクイストは、ニューヨークで杉本博司から東洋古美術と写真を学んだ
- 対象を表す特徴の抜き出し方が絶妙、まさにモノの似顔絵を見ているよう
エリックの作品の横には、被写体となった陶磁器を並べて展示しています。よく見比べてみてください。その中では本物よりエリック作品の方が魅力的に映る場合もあるでしょう。そんな不思議な展覧会です。

展覧会タイトルのObject Portraitsとは「モノの肖像」という意味です。作者のEric Zetterquistは既存の美術品の特徴を強調するために、極端に不要な要素をそぎ落として2Dモノクロで表現することを思いつきます。その方が、特徴がより分かりやすくなるためでしょう。
例えばエリック作品の一つに、東洋陶磁美術館の至宝である国宝の飛青磁花生(とびせいじはないけ)があります。花瓶の胴体に「飛青磁」と呼ばれて茶人に愛された、鉄紛がさびたような斑点模様がちりばめられています。エリックは斑点である飛青磁だけを取り出して表現しています。私は飛青磁花生を何度も見ており、エリック作品を見ただけで飛青磁花生とすぐわかりました。
エリック作品の横には、当の飛青磁花生は展示されていません。さすがに国宝だけあって、防災対策がしっかり施された常設展示室のいつものところに展示されています。このようにその作品の特徴をしっかりと記憶している人にはすぐわかるのです。上手な似顔絵を見ると誰かすぐわかるのと同じです。

エリック作品には全体としての特徴ではなく、一部分だけを取り出したものもあります。
エリックは、水柱の胴体を持つための取っ手の空間や、蓋をつまみやすくするために開けられたわずかな穴に目を付けます。横に展示されている被写体の陶磁器を見ても、どの部分を取り出したのか最初はよくわかりません。エリック作品は取っ手の大きな空間の左上に小さく2つ、蓋のつまみの穴を表現しています。一部分だけでも被写体の個性をとても上手にとらえているのです。
東洋陶磁美術館は、常設展示されている所蔵品そのものがワールドクラス揃いです。それら作品が発する強い主張をエリックはとても上手に受け止めて表現しています。モノの肖像は、現代アートの多様性の素晴らしさを実感できる素晴らしい表現です。

【東洋陶磁美術館】 特集展 高田コレクション・尾形コレクション ペルシアの陶器
オブジェクト・ポートレイト展と並行してペルシア陶器のコレクションを紹介する特集展も行われています。古九谷を思わせるような黄色や緑の鮮やかな色使いと共に、動物をデフォルメした表現が印象的です。シルクロード一帯の各民族の文化がブレンドされたような、奥深い作品が揃っています。こちらもぜひどうぞ。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
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大阪市立東洋陶磁美術館
企画展「オブジェクト・ポートレイト Object Portraits by Eric Zetterquist」
【美術館による展覧会公式サイト】
主催:大阪市立東洋陶磁美術館
会期:2018年12月8日(土)~2019年2月11日(月)
原則休館日:月曜日、12/28-1/4
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30(12/21-24は~18:30)
※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。
※この展覧会は、非営利かつ私的使用目的でのみ、撮影禁止作品以外の会場内の写真撮影とWeb上への公開が可能です。
ただしフラッシュ/三脚/自撮り棒/シャッター音は禁止です。
おすすめ交通機関:
大阪メトロ御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅下車、1番出口から徒歩6分
大阪メトロ堺筋線・京阪本線「北浜」駅下車、26番出口から徒歩6分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→淀屋橋駅
※この施設には駐車場はありません。
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