大阪の国立国際美術館で「プーシキン美術館展」が始まりました。モスクワにあるプーシキン美術館は、日本ではサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館ほどの知名度はありませんが、フランス絵画のコレクションの質と量は世界的にもトップクラスを誇ります。
今回は風景画の中から選りすぐった65点が来日しています。19c末からロシア革命の前夜まで、実業家や貴族たちが収集した作品がコレクションの基礎になっています。同時代のアメリカ人と同じく、ロシア人もフランス絵画を買いまくっていました。絵画コレクターの新興勢力が情熱を傾けた作品たちはどれも輝いています。

印象派の画家たちが活躍したころのパリ
プーシキン美術館は、モスクワ大学の芸術学の教授だったツヴェターエフがモスクワに公共美術館設立を呼びかけた運動に皇帝が賛同し、1912年に開館しました。
その5年後、ロシア革命によりボルシェビキ政権が成立すると、美術館のコレクションが一気に拡大することになります。相次いで国外に亡命した資産家の邸宅にのこされていた個人の美術品コレクションが国有化され、美術館に収められたのです。
その後もエルミタージュ美術館などソビエト国内から相次いで所蔵品が移管され、世界でも有数のコレクションへと成長していきます。
まさに共産主義国家ならではの荒業ですが、結果的に一か所にコレクションが集まることでとても魅力的な常設展示ができるようになります。この点は日本も学ばなければなりません。
日本は寄付文化が育たなかったこともあり、個人コレクションを展示する美術館が膨大な数にのぼります。仮にそれらがプーシキンのように一か所に集まっていれば、とてつもなく魅力的なコレクション展示ができることは間違いありません。互いの所蔵作品を貸しあう企画展に頼らなくても、魅力あるコレクションで安定した常設展示ができるようになるのです。

美術館の入口もレモンイエローで統一
今回の出展作品は、19cのフランスの風景画が中心です。中産階級が豊かになって都市や郊外で生活を楽しむことに関心が高まり、古典や神話ではなく日常の都市や郊外の風景が初めて絵のモチーフになった時代です。チューブ入りの絵の具が登場したこともあり、印象派の画家たちを中心に明るい太陽のもとで絵を描くスタイルも確立します。印象派の明るいタッチは、チューブ入りの絵の具さまさまでもあります。
【公式サイト】 「見どころ」にご紹介した作品の画像が掲載されています。
展覧会のチラシやディスプレイには、明るさを強調するレモンイエローが統一して用いられています。モネの「草上の昼食」はまさに明るい作品の代表例です。森の中でピクニックを楽しむグループに、木漏れ日があたりいかにも楽しそうに見えます。太陽光線があたる木の葉は特に明るく強調されており、モネらしい光の反射を大きな粒のように描くタッチが見て取れます。
アルベール・マルケの「パリのサン=ミシェル橋」は、ポスト印象派とフォービスムの影響を受けた画家らしく、絵のパーツ一つ一つの個性を強調して表現しています。橋の上下を行きかう路面電車や船がとてもいきいきとしています。
クールベの「山の小屋」は彼の作品としては希少な山をモチーフにしたものです。人間臭いほどのリアルな表現が魅力的なクールベが、あたかも山小屋に生命感があるようにその存在感を巧みに表現しています。

掲載した会場内の写真は夜間開館中に撮影したものです
この展覧会は、毎週金・土曜の夜間開館中(17:00~21:00)は、一部作品を除き、会場内で写真の撮影ができます。お気に入り作品にハッシュタグ「#プーシキン美術館展」をつけてSNSにアップしましょう。営利目的のアップはNGです。
またフラッシュ・三脚・セルフィーもNGです。シャッター音が出ないカメラを使いましょう。撮影に夢中になるとこうした事態に気づかなくなりがちになります。スマホならシャッター音が出ないカメラアプリがダウンロードできます。

出口手前のルソーのジャガーの絵だけは金・土曜の夜間以外も撮影可能
フランスの都市と郊外の生活を楽しんだ19c後半の人たちの感性が届いてきそうな元気のある作品が揃っています。夜は特に、入館者数も少なくおすすめです。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
国立国際美術館 「プーシキン美術館展──旅するフランス風景画」
【国立国際美術館公式サイト】http://www.nmao.go.jp/exhibition/2018/post_188.html
【朝日新聞社公式サイト】http://pushkin2018.jp/
主催:国立国際美術館、朝日新聞社、関西テレビ放送、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省
2018年7月21日(土)~10月14日(日)
原則休館日:月曜日
開館(拝観)受付時間:10:00~16:30(金・土曜日は~20:30)
※この展覧会は、2018年7月まで東京都美術館、から巡回してきたものです。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。
おすすめ交通機関:
京阪中之島線「渡辺橋駅」下車徒歩5分、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅下車徒歩10分、
JR環状線・阪神本線「福島駅」・JR東西線「新福島駅」下車徒歩10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
JR大阪駅→大阪メトロ四つ橋線→肥後橋駅
公式サイトのアクセス案内
※この施設に駐車場はありません。
