
とても開放的な屋上
奈良は数多くの古寺が持つ仏像や建物で有名だが、ランドマークがどこからでも見渡せるため「空間が大きい」ことも大きな魅力だ。しかしこのことはあまり知られていないような気がする。今日は奈良の空間の魅力を伝えてみたい。
1)大阪や京都から近鉄電車に乗ってくると、終点の近鉄奈良駅の手前の巨大な空間の中に、赤い柱が美しい雄大な平城京の大極殿と朱雀門が姿を見せる。この大極殿や朱雀門を借景にした鉄道写真は鉄道ファンの間では人気。

2)建物の高さ制限が厳しい奈良市中心部で最も高い建物はホテル日航奈良で、10階建に過ぎない。東大寺の大仏殿とほぼ同じ高さで、興福寺の五重塔よりも低い。
3)市内のどこからでもほぼ若草山が見える。つまり奈良時代のランドマーク建物や周辺の山が今でも見渡せる。
4)薬師寺の伽藍や平城京跡も、いずれも現代の復元建築が中心ながら、借景に現代建築がみえないため、内側から見た伽藍や宮殿の様子は天平の頃と変わらない。
5)京都では周囲に現代建築が見えないところはまずないので、京都の寺社や庭園は現代建築が見えないよう敷地を取り囲む木の背を高くして隠していることが多い。そのため戦前までは京都市内のどこからでも見えた比叡山が見える寺社や庭園は、今では非常に限られる。
6)京都は、今やランドマークが見渡せず「空間が大きい」魅力は失われたが、寺や邸宅の障壁画や枯山水庭園で味わえる「空間が小さい」魅力はやはり一級。奈良は「空間が小さい」魅力が少ないことは否めないが、「空間が大きい」魅力は一級だ。
そんな一級の大きな空間を手軽に無料で味わえる穴場スポットがある。奈良県庁の屋上だ。

屋上からは興福寺の五重塔がすぐ前に見える
興福寺の北隣に県庁はあり、興福寺からは歩いて1分、近鉄奈良駅からも5分ほどだ。週末でも原則開放されており、エレベーターで楽々上がれる。展望台料金も無料。眺める高さでは若草山の山頂よりは低いが、行きやすさと混雑しない穴場さは抜群だ。春や秋の天気のいい日に屋上カフェすると、とても気分がよくなる。1Fにコンビニとカフェがあり調達に便利。

東大寺大仏殿や若草山も手に取るように近い
西側には平常旧跡の大極殿や朱雀門が見える。薬師寺五重塔も見える。はるか南には万葉集にうたわれた大和三山が見える場合もある。大阪府や福岡県など日本の悠久の歴史の原点になった地域はいくつかあるが、奈良ほど古(いにしえ)と変わらないランドマークと巨大な青い空が同時に見渡せるところは他にはない。
日本や世界には、数多く「ここにしかない」名作がある。
「ここにしかない」名作に会いに行こう。
奈良時代と現在をトレースして比較できる。平城京の街割り解説も詳しい。
奈良県庁舎屋上広場の開放日程について
http://www.pref.nara.jp/secure/80570/kaihou17.8.9.pdf
会期:通年
休館日:年間数日あり(事前にご確認ください)
