美の偉人ものがたり

繊細な仏のお顔が人々の心を癒した ~快慶

奈良国立博物館 快慶展東大寺の南大門をくぐる人を圧倒する金剛力士像の作者が運慶と快慶であることは、多くの日本人が知っている。日本の仏像史を飾るスーパースターと言っても過言ではない。仏像は、迷いのない表情で会いに来る者の心を落ち着かせてくれる...
お寺・神社・特別公開

愛くるしい虎の眼が観る者を魅了する ~無量寺 串本応挙芦雪館

無量寺(和歌山県串本町)長澤芦雪(ながさわろせつ)が本州最南端の潮岬のある南紀・串本の無量寺の襖に描いた虎が、私は好きだ。虎や龍は、日本の障壁画のモチーフとしてよく描かれている。虎は中国や朝鮮半島に生息していることが日本でも古くから知られて...
名作レビュー

人間よりも艶(つや)のある人形の動き ~国立文楽劇場

文楽公演「文楽」「人形浄瑠璃」は日本の伝統的な人形芝居であることを知らない人は皆無だろうが、2つの呼び名の違いについては知っている人は少ないように思う。私もつい最近までは知らなかった。呼び名の違いはこの伝統芸能の歴史をたどるとわかりやすい。...
お寺・神社・特別公開

後白河法皇が愛した中世の道 ~熊野那智大社

熊野那智大社 大門坂熊野三山とは、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の3つの神社の総称だが、通常は仏教寺院をあらわす「三山」とも呼ばれる。江戸時代まで神仏を区別しなかった頃の呼び名が習慣として残っているのだろう。山形県の「出羽三山」も...
お寺・神社・特別公開

800年前のパワースポット ~熊野本宮大社

熊野本宮大社熊野本宮大社は、紀伊半島の先端部に近いところにあるがゆえに、訪れるには難儀な地である。2017年時点でも高速道路は通っておらず、訪問の拠点となる新宮までは、JR在来線特急で新大阪駅から4時間、名古屋駅から3時間30分を要する。そ...
美術館・展覧会

岩崎家は「知の殿堂」を残してくれた ~東洋文庫ミュージアム

東洋文庫のモリソン書庫、とても美しい東洋文庫は東京・駒込にある世界トップクラスの東洋学の研究図書館で、三菱財閥の三代目・岩崎久彌(創設者・弥太郎の長男)が1924年に設立した。タイムズ記者だったモリソンが収集した膨大な中国文献コレクションの...
美術館・展覧会

井伊の殿様は絶品コレクター ~彦根城博物館

彦根城の美しい中堀彦根は、西国や京の都から東国へ入る交通の要所である。関が原で勝ったものの、秀忠率いる本隊が戦に遅参したことで西国をほとんど豊臣恩顧の大名に与えざるをえなかった徳川家康は、徳川四天王と言われた重臣の中から井伊家にその地を託し...
祭・行事・季節の花

桜が今に伝える「兵どもが夢の跡」 ~根来寺

桜 根来寺根来寺(ねごろじ)は、和歌山県の北端の山脈の麓にあり、山を越えれば大阪府になる。眼下に雄大な紀の川の流れが見えるように、高台に位置する天然の要害であり、戦国時代に各地で強大になった宗教勢力の一つである。平安時代の末期、高野山では改...
体験・イベント

先人たちの努力が今の風情をつくった ~保津川下り

保津川下りの舟京都の魅力といえば、寺社や街並みなど1200年の歴史を感じさせる風情がまずあげられるが、都市の近くで山や川の自然の恵みを巧みに活かした鑑賞や体験ができることも見逃せない。三方を山に囲まれた盆地であるがゆえに、京都はこうした体験...
美術館・展覧会

人々の生きる力を最初に如実に表現した男 ~福井県立美術館 岩佐又兵衛展

福井県立美術館 岩佐又兵衛展2016年の夏に福井県立美術館で「岩佐又兵衛展」が開催された。岩佐又兵衛は、安土桃山時代から江戸初期にかけ、日本美術が空前の繁栄期を迎えた時代の代表的な絵師の一人だが、その生涯はかなり異色である。織田信長が長篠の...
城・屋敷・歴史遺産

金沢と共通点の多い「高松」の至宝 ~栗林公園

栗林公園 東門 香川県は海に面した穏やかな土地で、陽の光の柔らかさがすがすがしい。今ではすっかり「うどん県」として有名で、郊外に点在する製麺所がイートインを供する「製麺所系」と言われるお店には、週末には関西・中国・四国全域のナンバーの車が今...
美術館・展覧会

100万石大名が生き残る英知 ~石川県立美術館

石川県立美術館 金沢という街に対して「和」のイメージを持たれる方が多いと思う。加賀100万石のお膝元で代々の藩主が文化の振興に努力し続けた結果、形成されたイメージであり、石川県にとって豊かな観光収入の石津江となっている。 前田家は外様大名で...
お寺・神社・特別公開

室町時代に伝わった都の最先端文化 ~医光寺(益田)

医光寺庭園の案内文 益田市は、日本海側で東西に細長い島根県の西の端に位置する。近年は「石見神楽」への注目度が高いようで、私はまだ拝見していないが、ダイナミックな踊りと音楽で外国人観光客にも人気が高いと聞く。島根県は出雲大社があることから、や...
美の偉人ものがたり

ルネサンスに幕を降ろした時代の寵児 ~カラヴァッジョ

San Luigi dei Francesi教会のカラヴァッジョ作品 現代の著名画家の中で、存命中に売れた/売れなかった、いずれにしろ没後長い間忘れられ、カラヴァッジョのように20世紀になって改めて評価された画家は少なくない。 そうした画家...
美術館・展覧会

揃ってお会いできるのは面白い ~日韓それぞれの半跏思惟

仏像はアジアの各地に数多く伝わっており、その表情はその国の民族の特徴が表れていることが多く興味深い。中でも朝鮮半島の仏像は、日本に仏教や仏像を伝えた国であり、日本の仏像とよく似ている。仏教は飛鳥時代の538年(557年説もある)、欽明天皇の...
美術館・展覧会

600年前の最先端芸術「禅画」 ~慧可断臂図と瓢鮎図

2016年の春と秋、京都と東京のそれぞれの国立博物館で、禅宗美術の最大級の展覧会が開かれた。水墨画など、作品保護のために公開されることが少ない傑作が目白押しで、室町時代の日本美術に大きな影響を与えた「禅」が表現する「かたち」には、時間がたつ...
美術館・展覧会

書には時代の嗜好が表れる ~国宝になった空海の手紙

私は正直「書」という芸術作品には関心が薄かった。なので寺や美術展で展示されていてもじっくりと見つめたことはなかった。ある時、大阪市立美術館「書聖たちの傑作、大阪に集結! 王義之から空海へ-日中の名筆 漢字とかなの競演」という展覧会のニュース...
美術館・展覧会

見たこともなかった南蛮人を豊かに表現 ~ザヴィエル像と南蛮屏風

教科書などで誰もが見た記憶のある有名な南蛮美術の作品「聖フランシスコ・ザヴィエル像」が神戸市立博物館で年に一回程度、不定期ながらも公開されている。江戸時代初期1613年に幕府からキリスト教禁教令が出された後、ザヴィエルが聖人に列せられた16...
お寺・神社・特別公開

桃山時代の上流階級が愛した空間 ~大徳寺 聚光院~

大徳寺は京都市内の北部、紫野という地にあり、戦国時代には千利休をはじめ幾多の戦国大名が茶道と向き合った寺として知られる。境内には本坊を取り囲んで多くの塔頭寺院があり、戦国大名の庇護が手厚かったことから、現代にも数多くの国宝や特別名勝をはじめ...
城・屋敷・歴史遺産

庭の借景として見る白鷺城 ~姫路 好古園~

JRの新快速や山陽新幹線で姫路に近づくと、車窓に白く光り輝く姫路城が表れる。2015年に終了した平成の大修理では天守閣が真っ白になって驚いたが、瓦の漆喰を塗りなおしたため白く見えるようになったそうだ。別名「白鷺城」でもあり、よくよく見ると確...