トヨタ自動車は、2019年現在まで永らくに渡って日本企業最大の株式時価総額を
ほこり、自動車の生産・販売台数でも世界トップクラスを維持しています。そんな超
巨大企業の足跡を紹介する企業博物館は名古屋近郊に4つもあります。そのうちの一
つ、創業時の歩みと所蔵美術品を披露する「トヨタ鞍ケ池記念館」を訪れました。
- 4つあるトヨタ企業博物館では最古、創業以来の足跡と蒐集美術品にス
ポットをあてているのが特徴 - 会社として蒐集した絵画を展示する「アート
サロン」は人知れない名スポット - 自動車メーカーとしての礎を築いた豊田
喜一郎の移築された旧宅は戦前モダニズムの名建築
豊田家の足跡
と会社としての最も知ることができる博物館です。名古屋近郊の憩いの場として名高
い鞍ヶ池(くらがいけ)公園の中心的な施設です。

トヨタ創業展示
室
トヨタ鞍ケ池記念館は1974(昭和49)年、トヨタ車生産累計1,000万台
達成を記念して造られました。1,000万台という数字は、2019年現在ではほぼ1年間
の生産台数であり、45年前の企業としての業績とは隔世の感があります。
日本では関東平野に次いで大きい広大な濃尾平野の東の”端っこ”にト
ヨタ鞍ケ池記念館はあります。豊田市周辺に点在するトヨタの工場群を見下ろすこと
ができます。

トヨタ自動車創
業時の拳母工場(現:本社工場)のジオラマ
展示は「トヨタ創業展示室」と
「鞍ヶ池アートサロン」の大きく2つに大別されます。トヨタ創業展示室では、製造
機械や完成車を前面に押し出すのではなく、企業としてのトヨタの足跡を解説するパ
ネル解説・写真・ジオラマの展示を主としています。こうした創業の歩みに主眼を置
いた展示が、4つあるトヨタの企業博物館の中で際立っています。
中心には
創業時の拳母工場(現:本社工場)のジオラマがあります。現在も度肝を抜かれるよ
うな大きさですが、戦前の創業時では度肝どころではなかったでしょう。まさにアメ
リカのように果てしない雄大さを感じさせます。
トヨタの自動車製造と経営
に携わった歴代の人たちの写真パネルによる解説も丁寧です。トヨタという巨大企業
の礎を築いた無名の先人たちの努力をしっかりと感じることができます。

外観
「鞍
ヶ池アートサロン」では、テーマに応じた企画展を通じて所蔵品を披露しています。
2019年春には「色彩と情熱の美 ~フォーヴィスムと日本近代洋画~」が開催されて
います。
日本企業は美術品を所蔵すること自体、世界の有名大企業に比べて
多くありません。所蔵していても積極的なPRは見られません。「隠匿」という日本人
にしか理解されない価値観がまだまだ根強いためでしょう。鞍ヶ池アートサロンで展
示されているトヨタ自動車の所蔵品はかなりレベルが高いと感じますが、PRしないこ
とでほとんど知られてないことは、ある意味残念です。
【鞍ヶ池アートサロン公式サイトの画像】デュフィ
「パドック」
フォービズムの画家・デュフィの「パドック」は、紫色の
描写が印象的です。森の中になる競馬場のパドックに集う人たちを、森の緑の中で紫
色のスポットライトを浴びせたように描いている構成が秀逸です。
佐伯祐三の「洗濯屋」は、佐伯らしいシックな建物の色彩の
中で、実に奥深い碧色の壁の描写が際立っています。歴史を積み重ねた建築の特徴を
見事にとらえた名品です。

旧豊田喜一郎邸
鞍ケ池記念館の奥に1分ほど歩くと、現在のトヨタ自動車の社長・豊田章男
の祖父で、自動車メーカーとしての礎を築いた豊田喜一郎の旧宅の外観を鑑賞できま
す。名古屋の高級住宅街・南山にあった建築を移築したものです。名古屋で大正・昭
和モダニズムを実感できる名建築です。室内が公開される機会を待ちたくなります。
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
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トヨタ鞍ケ池記念
館(愛知県豊田市)
【公式サイト】 http://www.toyota.co.jp/jp/about_toyota/facility/kura
gaike/
原則休館日:月曜日、年末年始
入館(拝観)受付時間:9:30
~17:00
トヨタ鞍ケ池記念館 鞍ヶ池アートサロン
色彩と情熱の美 ~
フォーヴィスムと日本近代洋画~
【美術館による展覧会公式サイト】
主催:トヨ
タ自動車
会期:2019年2月9日(土)~2019年5月26日(日)
※会期
中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡
回はありません。
※この美術館は、コレクションの常設展示を行っていません。
企画展開催時のみ開館しています。
◆おすすめ交通機関◆
名鉄豊田線/三河線「豊田市」駅
下車、東口バスから名鉄バス「鞍ヶ池公園前」下車、徒歩3分
東海環状自動車道
「鞍ヶ池」スマートICから車で3分
JR名古屋駅から一般的なルートを利用
した平常時の所要時間の目安:1時間45分
名古屋駅→地下鉄東山線→
伏見駅→地下鉄鶴舞線直通名鉄豊田線→豊田市駅→東口1番バスのりば
→名鉄バス「矢並線」33系統→鞍ヶ池公園前
※バスは本数
が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることをおすすめします。
※
この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約を
強くおすすめします。
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