大阪で80’sアートの多様性を体感 ~中之島 国際美術館 1/20まで

大阪・中之島の国立国際美術館で日本人アーティストによる1980年代の作品に絞った興味深い展覧会「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」が始まっています。1980年代の日本社会の記憶がある方は現在40代以上の方になりますが、バブル経済に向かってイケイケどんどんで、今思えば昭和の最後を一生懸命駆け抜けていました。

笑っていいとも・東京ディズニーランド・ファミコン・コンビニ・マハラジャ、現在も続くもの・すでにないもの・復活したもの、様々ありますが、数多くの記憶に残る文化を生み出した時代でした。

80年代に生きた人はそんな時代の美術作品に今ではレトロ感を感じる方も少なくないでしょう。一方80年代に生きていない人は、現代にはない斬新さを感じる方もいらっしゃるでしょう。ポップアートのようにその時代を彷彿とさせる作品も多く、まさに80年代を映し出した鏡のようです。

世代によって見え方・感じ方がかなり異なると思われる展覧会です。異なる世代の方と一緒に鑑賞すると面白いかもしれません。

国立国際美術館は、前回1970年の大阪万博会場に設けられた美術館を母体に開設され、国内外の第二次大戦後の美術作品を収集しています。現代美術では東京都現代美術館・金沢21世紀美術館と並んで日本有数の美術館と言えます。そのためこの展覧会は国際美術館のコレクションの本丸をプレゼンするものでもあります。国際美術館の所蔵作品が出展作品の半数を占めています。

出展アーティストのラインナップを見ていると、知名度のあるアーティストが少ない印象を受けます。70年代までは岡本太郎や横尾忠則、90年代以降は村上隆や奈良美智といった知名度の高いアーティストがいます。草間彌生も1960年代にはよく知られるようになっていましたが、80年代は活動が目立ちません。

アーティストの知名度だけで判断することは適切ではないですが、日本の現代美術にとって80年代はある意味、エアー・ポケットのような時代なのかもしれません。

出展作品の印象としては、表現に勢いを感じる作品が多いと感じます。また難解にとらえられがちな前衛的な表現が、なくはないですが目立ちません。とても表現に多様性があります。展示は制作年代順に5章に分けて行われており、時代の変遷もわかりやすくなっています。

【公式サイト】 ご紹介した作品の画像の一部が掲載されています

会場の入口では中西學「THE ROCKIN’ BAND」の3作品が鑑賞者を出迎えます。バブルへの階段を上り始めた1985年の作品です。いかにも80年代を思わせる衣装でエレキギターやドラムを奏でる姿は元気にあふれています。色使いの派手さが印象的です。

80年代アーティストの中では知名度の高い日比野克彦の「BJ.MACKEY」は、日比野が得意とする段ボールで、箱の上に置かれるトラックのオブジェを表現しています。紙ならではの温かい質感を感じさせるとともに、とにかく明るい作品であることが目を引きます。ぶりっ子という言葉が定着し、松田聖子の人気が絶頂期だった1982年の作品です。

【国立美術館 所蔵作品総合目録検索システムの画像】 石原友明「I.S.M.(スカート)」

石原友明の「I.S.M.(スカート)」は発泡スチールで造形し、表面を牛革で覆ったオブジェです。スカートをはいた少女のようにも、皮の椅子に巨大な野球ボールが置かれているようにも見えます。強い存在感があり、鑑賞者に表現の意味を考えさせるしっかりした主張がある作品です。浅野ゆう子&温子のW浅野がトレンディドラマで時代の寵児となったバブル絶頂期の1988年の作品です。

B2Fのコレクション展の会場では同時開催で「80年代の時代精神から」が行われています。欧米では80年代は、難解なコンセプチュアル・アートのような表現に対し、絵画が復権した時代ととらえられるのが一般的です。

そんな時代を生きた国内外のアーティストたちの所蔵作品から、日本だけではなく世界の視点で80年代を振り返ることができます。こちらもあわせて鑑賞すると、日本の80年代のアートシーンがより明確になります。

【公式サイト】 80年代の時代精神から

80年代にスポットをあてた展覧会は、今年2018年の夏にも金沢21世紀美術館で開催され、高松市美術館と静岡市美術館に巡回中です。昭和の最後を飾った80年代への注目があらためて高まっていることに関心が持てた展覧会です。。

【高松市美術館】 起点としての80年代
【静岡市美術館】 起点としての80年代

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。


戦後の日本の現代アートをスッキリ理解

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国立国際美術館
ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:国立国際美術館
会期:2018年11月3日(土)~2019年1月20日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30(金土曜~19:30)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。

◆おすすめ交通機関◆

京阪中之島線「渡辺橋駅」下車徒歩5分、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅下車徒歩10分、
JR環状線・阪神本線「福島駅」・JR東西線「新福島駅」下車徒歩10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
JR大阪駅→大阪メトロ四つ橋線→肥後橋駅

公式サイトのアクセス案内

※この施設に駐車場はありません。

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