美仏の宝庫である若狭・小浜、今回は多田寺(ただじ)をご紹介したいと思います。すでにご紹介した萬徳寺・妙楽寺とは異なる谷にありますが、トンネルができたため徒歩でも移動できる距離にあります。
小浜の美仏の中ではかなり古風なお顔立ちが注目される薬師三尊は、若狭の木造仏では実際に制作時期が最も古いと考えられています。若狭の美仏の奥の深さを味わうためには、こちらも見逃せません。

パンフレット表紙は十一面観音
多田寺は、奈良時代に孝謙天皇の眼病祈願を行い快気させた勝行上人(しょうぎょうしょうにん)が、孝謙天皇から当地を賜って開いたと伝えられています。この寺伝により現在も眼病治癒を祈願する人が絶えません。勝行上人は奈良・東大寺の要職についており、そうした中央とのパイプがあって薬師三尊をこの寺に迎えることができたのでしょう。
本尊の重文・薬師如来はお顔立ちがエキゾチックで、童顔にも見えます。像高が2m近くあるため、かなりの存在感を示す仏様です。下半身の衣のひだの模様が幾何学的で美しく、強調された太ももにまとわりついている造形が神秘的です。長年秘仏で保存状態がよく、木目が美しいことから官能的でもあります。京都・神護寺の国宝・薬師如来と共通する平安時代初期の下半身の造形です
本尊の脇侍は薬師三尊と寺では位置付けていることから、十一面観音菩薩立像を日光菩薩、菩薩立像を月光菩薩と呼んでいます。十一面観音菩薩立像・菩薩立像は重文指定名称です。
十一面観音菩薩立像は天平美人のお顔立ちです。頬がふくよかで、眼が微笑しています。平安京に遷都する前後の製作と考えられており、本尊よりも古く奈良時代の作風が色濃く残っています。
本尊は日本人離れしたエキゾチックなお顔立ちであり、天平美人の十一面観音と並んで小浜では異色の美仏です。奈良の都とのつながりを強く印象付けます。
菩薩立像は、他の二尊と同じく美しい木目が残っています。一見すると十一面観音菩薩立像と見分けがつきにくいですが、お顔立ちが対照的にシャープです。お顔立ちを見ると日光・月光のネーミングに違和感はありません
小浜には数多くの美仏があります。それぞれ個性があり、観る者を飽きさせません。ぜひ一日かけてゆっくり古刹巡りをお楽しみください。若狭と小浜の奥深い歴史を知るために、福井県立若狭歴史博物館もおすすめです。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
多田寺(若狭おばま観光協会サイト)
http://wakasa-obama.jp/TouristAttract/TouristAttractDetail.php?26
多田寺(福井県観光連盟サイト)
https://www.fuku-e.com/010_spot/index.php?id=91
※仏像や建物は、公開期間が限られている場合があります。
※拝観は事前予約が必要です。

