
この奥で白鳳仏にお会いできる
東京・調布の深大寺(じんだいじ)は、奈良時代の創建といわれ、東京都では浅草寺に次いで古い寺です。境内は隣接する神代植物公園とあわせ広大な森を形成しており、いたるところで湧水が見られます。この湧水が「深大寺そば」を門前名物に押し上げたともいえます。
そんな美しい境内で、これまた美しい仏像にお会いできます。寺に伝来する仏像では東京都で唯一の国宝で、奈良時代に奈良から運ばれてきたと考えられています。東京でこんなに美しい仏像にお会いできること自体が驚きです。ぜひ会いに行ってください。
【公式サイトの画像】 国宝銅像釈迦如来像
国宝仏像は「釈迦如来」です。エキゾチックで中性的でふっくらしたお顔である典型的な白鳳時代の仏像です。
像高は80cmほどと小ぶりですが、優美な表現の美しさは像の高さとは無関係です。胴体にまとわれた衣のひだは、方程式の曲線グラフのように幾何学的な美しさを見せています。漆黒の肌は薬師寺の薬師三尊のように黒光りしており、仏としての神秘性を増幅しています。
こんな見事な白鳳物がなぜ武蔵の国にあるのか? 今となってはわかりません。しかし銅像を鋳造できる技術は飛鳥の都以外に考えられません。また白鳳仏の傑作である奈良・新薬師寺の香薬師(こうやくし)や法隆寺の夢違観音(ゆめちがいかんのん)と、お顔の表情や指先の形が類似しています。そのため香薬師や夢違観音に近い仏師によって作られたと考えられています。
像高は80cmほど、重さも50kgほどですので陸路で運べない大きさではありません。奈良時代の創建時の深大寺は、奈良の都で栄えていた法相宗の寺だした。深大寺の寺伝にも創建時の本尊だったことが伝えられています。東国での法相宗の重要拠点として位置づけられていたなら、わざわざ輸送する価値があったと考えても筋は通ります。
深大寺は平安時代に天台宗になり、以来厄除けの元三大師(がんざんだいし)信仰で知られています。毎年3月3~4日に行われる厄除元三大師大祭、通称「深大寺だるま市」は、縁起だるまを買い求める人で大きく賑わいます。
うっそうとした森の緑には、等々力渓谷のように心地よい水の流れの音が似合います。都内では貴重な水と緑の豊かさを同時に味わえるスポットです。参道は江戸時代の宿場のような趣を残しています。名物のそばのお店もたくさんあります。江戸の風流と白鳳仏、文化も同時に味わえる稀有なスポットです。

江戸情緒が今に伝わる参道
こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。
深大寺
http://www.jindaiji.or.jp/
原則休館日:なし
※仏像や建物は、公開期間が限られている場合があります。
