京都・鹿ケ谷(ししがたに)にある安楽寺(あんらくじ)の名物行事、「鹿ケ谷かぼちゃ供養」の季節が近づいてきました。緑に囲まれた東山に佇む静かな境内で、京都らしい絶妙の薄味に煮込まれたかぼちゃをいただけます。夏の盛りの土用の時期ですが、どこか体がはんなりと落ち着きます。
席に着くと子供たちがかぼちゃをサーブしてくれます。サポートする大人たちも含めて檀家の人たちの心温まるもてなしが印象的です。猛暑の中ですが、「行ってよかった」と感じられる催しです。

京都のかぼちゃ供養は、年末に寺町三条の矢田寺や大原の寂光院でも行われますが、夏は安楽寺だけです。京都の寺の飲食物の提供イベントである「接待」は、他にこんにゃくや甘酒もありますが、多くが冬です。

江戸時代の住職が「夏の土用にかぼちゃを食べれば中風にならない」とのお告げを聞いたことで始まったと伝えられています。以来、200年以上行事として続けられており、夏の盛りを乗り切る名物行事として京都市民にすっかり定着しています。

安楽寺は観光目的では常時公開されていませんが、このハレの日には虫干しも兼ねて絵巻など寺宝も公開されます。境内は東山の中腹にあることから、山荘のような趣があります。縁側で、街中よりも涼しさを感じる風にあたって緑を眺めていると、とても心が洗われます。

鹿ケ谷と言えば、僧・俊寛が平家打倒の陰謀を練っていたところとして知られていますが、安楽寺の起源も同じ時代にあります。寺を開いたのは、浄土宗の開祖・法然の弟子の住蓮・安楽両上人です。両上人に帰依する人は多くおり、その中には後鳥羽上皇の女官であった二人の美女・松虫と鈴虫もいました。二人は後鳥羽上皇の熊野詣中に無断で出家し、両上人との密通を疑って激怒した後鳥羽上皇が両上人を斬首、法然や親鸞を流罪にしました。いわゆる建永の法難です。

寺には両上人や美女・松虫にゆかりの品も残されており、境内は女性的なやさしさを感じさせます。接待の日に床の間に行けられていた花にも、そうした女性的なセンスを感じます。

かぼちゃ供養で供されるのは、京都の伝統野菜にも認定されている「鹿ケ谷かぼちゃ」です。ひょうたん型をしており、煮崩れしにくいため煮物に合います。通常は百貨店などごく一部の店でしか販売されていませんが、鹿ケ谷かぼちゃ供養の日には門前で販売されています。京の伝統野菜の生産者である「かね正」による販売です。夏の元気注入には最適なお土産になります。
夏の土用には、ウナギもよいですが、かぼちゃもぜひ。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
鹿ケ谷かぼちゃ供養
http://anrakuji-kyoto.com/archives/6571
会期:毎年7月25日(日付で固定)
開館(拝観)受付時間:9:00~15:00頃
安楽寺
http://anrakuji-kyoto.com/
※この寺は観光目的では常時公開されていません。公開は毎年春(月頃)と秋(月頃)の土日祝日、および鹿ケ谷かぼちゃ供養の日に限られます。公開日程は公式サイトにてご確認ください。
おすすめ交通機関:
京都市バス「真如堂前」「錦林車庫前」「上宮ノ前町」下車、徒歩15分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:45分
京都駅→市バス5系統→真如堂前
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設に駐車場はありません。
※道路の狭さと駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。
