滋賀県の大津市歴史博物館で、延暦寺など大津市に所在する著名な10社寺所蔵の仏像・神像を公開する「神仏のかたち」展が行われています。大津市には他にも三井寺・石山寺・西教寺といった著名寺院が多くあり、京都や奈良と並んで仏教美術の宝庫でもあります。
国宝1点・重要文化財15点が含まれ、普段非公開の文化財も多く出展されます。大津市の仏教文化のレベルの高さを確認できる展覧会です。秘仏にお会いできる貴重な機会です。

大津歴博の入口
通称・大津歴博(おおつれきはく)で親しまれているこの博物館は、三井寺近くの琵琶湖のビューが美しい高台にあり、1990年に開館しました。大津市の歴史を紹介する常設展に加え、他施設からの貸し出し品も交えた企画展を年3回ほど、自館の所蔵品をテーマに応じて展示するミニ企画展を年8回ほど行っています。
大津市は東海道や琵琶湖の水運の拠点として栄え、京都の東の玄関口にもあたります。飛鳥時代に大津京が置かれたこともあり、悠久の歴史を持つ街です。そのため古刹や一級の仏教美術もたくさんありますが、非公開のものが少なくなく、鑑賞機会になかなか恵まれません。
「神仏のかたち」展は、仏像・神像や仏画を、シャカ・如来・菩薩・明王・天部・神像・高僧・羅漢の順でモチーフになった仏様・神様の種類ごとに展示されています。解説パネルはとても丁寧で、その種類の仏様・神様の役割やお姿の特徴を基礎から学べるようになっていることも展覧会の特徴です。
【公式サイト 主な出展品の画像】 大津歴博「神仏のかたち」展示構成(ページ中ほど)
展示の最初「シャカ」では、国宝の舎利容器がまばゆい輝きを放っています。大津京のそばに飛鳥時代から室町時代にかけて存在した崇福寺の跡地から、近年の発掘調査の際に出土したものです。釈迦の遺骨を納めるための容器で、奈良時代の最先端のデザインが施されています。仏様のものですが、”神々しい”オーラを感じさせます。
次の「如来」はスター揃いです。安楽寺・法楽寺・西教寺の三体の重文・薬師如来坐像と一度にお会いできることがとても爽快です。いずれも秘仏で保存状態が良く、肌や衣のラインがとても美しくのこされています。
西教寺の薬師如来は、白河天皇が岡崎に建立した法勝寺(ほっしょうじ)が安土桃山時代に西教寺に併合された際に、西教寺に移されたと伝えられています。切れ長の目のお顔と、右手が胸の中心で左手に添えるように造形されている姿が神秘的です。西教寺からは行快作の阿弥陀如来立像も見応えがあります。快慶の後継者として、静寂と落ち着きを見事に表現しています。
石山寺の重文・大日如来坐像は快慶作です。日本で最も美しい国宝の多宝塔の本尊です。怪しい輝きを発するような玉眼の目の造形は、密教の王者としての威厳と風格を見事に表しています。
「菩薩」では10/16以降、京都・妙傳寺の弥勒菩薩半跏思惟像が出展されます。2017年に7cの朝鮮半島での制作と鑑定されて話題となった鍍金仏で、日本の飛鳥仏のような微笑が美しい傑作です。
「明王」では、延暦寺の重文・降三世明王立像の蝋燭のすすで染まった漆黒のボディが目を引きます。鎌倉仏らしく造形は繊細でリアルです。煩悩を焼き尽くすパワーが見事に表現されている美仏です。聖衆来迎寺の愛染明王坐像も美しいお姿です。赤い肌の色がかすかにのこされているところが、どこか官能的にも見えます。
「天部」では、園城寺の大黒天立像の少年のようなお顔が魅力的です。ふくよかなおじさんのように表現されることが多い大黒天ですが、まれに異なるお顔立ちを目にします。この仏さまもまさにそのまれな名品です。

博物館の付近は散策路がたくさん
大津歴博は三井寺に徒歩5分ほどで行けます。この展覧会に出展している社寺の多くも京阪石山坂本線を利用して訪ねることができます。展覧会で印象に残った作品の社寺にも、ぜひ足を運んでみてください。隣の展示室で開かれている企画展「60年前の大津」もどうぞ。
こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。
大津市歴史博物館
湖都大津十社寺・湖信会設立60周年記念・日本遺産登録記念企画展
神仏のかたち -湖都大津の仏像と神像-
【美術館による展覧会公式サイト】
主催:大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、びわ湖大津観光協会、湖信会10社寺、京都新聞
会期:2018年10月13日(土)~11月25日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:00~16:30
※展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。
◆おすすめ交通機関◆
京阪石山坂本線「大津市役所前」駅下車徒歩7分、JR湖西線「大津京」駅下車徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:35分
京都駅→JR湖西線→大津京駅→京阪石山坂本線→大津市役所前駅
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。
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