普段は室内に入れない二条城の二の丸御殿で、「遠侍(とおざむらい)二の間」に入室して鑑賞できるイベントが始まりました。レプリカですが見事な虎の襖絵を間近に見ることができるため、そこに招かれた殿様のような気分になれます。
見ているうちに虎に睨まれたらさぞかし怖くなると思いきや、まったくそんな威圧感はありません。この虎や部屋の佇まいは、時間を忘れて見とれてしまうほど、よくできています。

遠侍の建物
二条城では近年、二の丸御殿の室内から庭が見られるよう障子を開放したり、特定の部屋に入室できるといった、普段は不可能な角度から鑑賞できる特別公開を不定期ながらも行うようになっています。観る方としては常時実施が望ましいですが、光や湿度の影響があるため建物を劣化させてしまいます。
二の丸御殿は、普通に廊下を歩いて内部が見学できますが、国宝の建造物です。そこに昨年2017年一年間で240万人の入場があり、そのほとんどが二の丸御殿にあがって廊下を歩いて見学します。鑑賞者の体重や呼吸と汗による湿度の建物への負荷は、ものすごいものがあります。

遠侍 二の間の位置
画像出典:公式サイト PDFパンフレット
遠侍は、登城した大名とその家臣の控えの間です。二の丸御殿は5つの建物が階段のように斜めに連結されて構成されており、最も玄関に近いところに位置するのが遠侍です。今回入室できるのは8つある遠侍の部屋の内、西南角(図では左下角)に位置する二の間です。
虎の絵は、大名が控える一~三の間すべてに描かれています。いずれも竹林で虎の群れが過ごす姿を描いています。虎の中には縦ジマではなくヒョウ柄もいます。江戸時代初期にヒョウはメスの虎と考えられていたためです。ヒョウ柄の虎はメスなので、幼い虎が乳をせがんでいるような構図も見られます。
虎の絵は、将軍家が大名に権力を見せつけるために描かれたという解説がなされていますが、皆さんはどうお感じになりますか? 権力の誇示という意味では、将軍と謁見する大広間の高い天井まで届く巨大な松の図の方が、私は納得感があります。
というのも遠侍の虎の絵には妙に愛嬌を感じるのです。虎の家族が一生懸命住処である竹林の中で過ごしています。こちらを見ている虎もいますが、といって睨み付けるような威圧感は感じません。威圧というより「そちの領国では、みな仲良く暮らしているか?」と問いかけられているように感じます。
見る人によって印象は様々だと思います。今回のように入室して鑑賞できる機会では、より間近に虎の表情が見えます。廊下からでは気付かない様々な表情に気づくことも多いでしょう。間近に鑑賞できると、それだけ豊かな表現が見えてきます。
二条城と並んで壮麗だった名古屋城の本丸御殿の中で、玄関に隣接する虎の間(二条城の遠侍に相当)にも竹虎図が描かれています。復元が完成したばかりでピカピカです。歴史のある建造物なのでピカピカには驚かれる方がいるかもしれませんが、完成当初の姿を忠実に表していると思います。本当に白木がまぶしいくらいに輝いています。二条城とぜひ見比べてみてください。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
二条城「二の丸御殿 遠侍(通称:虎の間)二の間 特別入室」
http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/nijojo/H30natu1.pdf
会期:2018年7月4日(水)~8月6日(月)
原則休館日:火曜日
開館(拝観)受付時間:8:45~18:00
二条城
http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/nijojo/
おすすめ交通機関:
地下鉄東西線「二条城前」駅下車、1番出口から徒歩2分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
京都駅→地下鉄烏丸線→烏丸御池駅→地下鉄東西線→二条城前駅
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設には有料の駐車場があります。
