京博のお正月は展示が濃厚|美の五色 ~雪舟の国宝も出ます

京都国立博物館でお正月恒例の特集展示が始まっています。毎年の干支にちなんだ作品を中心に、並行して複数の特集展示が行われます。今年は「亥づくし」「美麗を極める中国陶磁」「京の冬景色」の3つです。

  • 平常展示料金で特別展並みの質の高い所蔵作品を鑑賞できる
  • 知名度の高い国宝が展示されるのも恒例
  • 1/2から開館、初詣の後に京博で目の保養ができるのは乙(おつ)

今回展示される国宝の目玉は、雪舟の慧可断臂図(えかだんぴず)です。琳派の渡辺始興(わたなべしこう)の障壁画もとても見応えがあります。お正月はぜひ京博に。

日本の国立博物館では東京と京都で毎年、お正月にちなんだ特集展示を行っています。両館とも最も安い平常展示(京博)・総合文化展(東博)料金で鑑賞できる上に、著名な国宝が展示されるのが恒例になっています。

【東京国立博物館公式サイト】 博物館に初もうで

京博の特集展示「亥づくし」「美麗を極める中国陶磁」「京の冬景色」と平常展示は、平成知新館の1-2Fを使って行われています。

【京都国立博物館の画像】 森狙仙「雪中三獣図襖」京都・廣誠院蔵

「亥づくし」ではイノシシの名画をたっぷり楽しむことができます。かわいいとは思われにくい風貌をしていますが、いにしえより日本の絵師はイノシシの作品もたっぷり描いています。

森狙仙の「雪中三獣図襖」は、ほとんど彩色がない水墨画ですが、猪の親子が雪の中を歩く姿を力強く描いています。体毛の繊細な表現には温かさすら感じるほどで、狙仙の腕の良さが見て取れます。森狙仙は、動き出しそうな写真のような動物画を、江戸時代後期に大阪で描いた絵師です。猿の絵がよく知られますが。このイノシシも絶品です。

【京都国立博物館の画像】 作者不詳「十二類絵巻」個人蔵

重要文化財の「十二類絵巻」は、室町時代の作品です。十二の干支の動物がそれぞれ伊達な装束に身を包んで歌合(うたあわせ)を楽しむお伽話を描いています。鳥獣戯画を思わせるような表現で、日本の古典的”マンガ”の傑作です。

【京都国立博物館公式サイト】 出展作品の画像の一部が掲載されています

「美麗を極める中国陶磁」は、清時代を中心とした中国陶磁器の特集展示です。2012年に京博に寄贈された松井コレクションの全貌を紹介するものです。清時代の陶磁器は製陶技術が高度に発展したことから、色彩は多様で、文様表現はとても緻密であることに特徴があります。中国や日本で見られる”超絶工芸”を思わせる作品も多くあります。

【京都国立博物館の画像】 塩川文麟「平等院雪景図」

「京の冬景色」も名作揃いです。幕末の京都の絵師・塩川文麟(しおかわぶんりん)による「平等院雪景図」は幻想的な作品です。京都の南にある宇治は、温かいため雪景色のイメージがないところです。そんなところを、ほとんど彩色を用いずに描いており、一度は宇治の雪景色を見てみたいと想像を膨らませます。他には国宝の法然上人絵伝も必見です。

【京都国立博物館の画像】 雪舟「慧可断臂図」

雪舟の慧可断臂図は、「亥づくし」期間中の平常展示のテーマの一つ「禅宗の人物画」で展示されています。何度見ても達磨のぎょろりとした目に圧倒的な迫力を感じます。入門を達磨に請うため腕を切り落とした慧可が姿を表した一瞬をの緊張感を、達磨の目がカメラのごとくとらえているようです。私が最も好きな雪舟の作品です。

【京都国立博物館の画像】 渡辺始興「松に百合図襖」奈良・興福院蔵

「亥づくし」期間中の平常展示のもう一つのテーマ「渡辺始興の絵画」もおすすめです。尾形光琳に学び、近衛家に仕えた渡辺始興は、琳派に属すると一般的には考えられます。狩野派のような雄大さや、やまと絵の繊細さも持ち合わせています。「松に百合図襖」は、複数の画風がブレンドしたように感じさせる名作です。構図は狩野派のように雄大ですが、表現や色彩は琳派のように艶やかです。

四季草花図屏風ほか、四季耕作図屏風も名品です。個性的な名品が多いこの一角は、時間をかける価値があります。


8年かかる耐震工事中の明治古都館

今年の京博のお正月は、”濃厚”です。京都の冬の空によく合います。

一つだけ難があるとすれば、特集展示と平常展示の違いが分かりにくいことです。これは東博でも同様です。多くの日本美術は西洋美術と異なり恒久展示はできないので、特集展示も平常展示も名称を統一して、テーマの名称だけで展示内容をPRした方がすっきりすると思います。みなさんはどうお感じになるでしょうか。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。


ハシモトマリは京博の名品をどのように語るか?

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京都国立博物館
特集展示 京の冬景色 【美術館による展覧会公式サイト】
新春特集展示 亥づくし ―干支を愛でる― 【美術館による展覧会公式サイト】
特集展示 美麗を極める中国陶磁 【美術館による展覧会公式サイト】
平常展示 【美術館による展覧会公式サイト】

会場:平成知新館1-2F
会期:2018年12月18日(火)~2019年1月27日(日)(美麗を極める中国陶磁は~2月3日(日))
原則休館日:月曜日、12/25-1/1
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30(金土曜~19:30)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。

◆おすすめ交通機関◆

京都市バス「博物館三十三間堂前」下車、徒歩0分
京阪電車「七条」駅下車、3,4番出口から徒歩7分
JR「京都」駅から徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/88/100/106/110/206/208系統→博物館三十三間堂前

【公式サイト】 アクセス案内

※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設には有料の駐車場があります(公道に停車した入庫待ちは不可)。
※駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。

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